時折見かけて気になるウイスキー。
しかし、国産ウイスキーは価格の割に期待外れなことも少なくなく、正直少し警戒してしまう。
2,000円台なので「安い!」とは言いづらいが、今回はあのウイスキーを試してみたい。
山桜 黒ラベル
/700ml/40度/2,200円(税込み)/2026年6月 実購入価格
山桜の製造元である笹の川酒造の歴史は古く1765年(明和2年)に遡り、ウイスキー免許を取得したのは1946年(昭和21年)だ。
『地雷臭』などとんでもない。
苦難の歴史を歩んできた老舗メーカーだった。
また、国産ウイスキーとして非常に評価の高いイチローズモルト。
笹の川酒造が羽生蒸溜所の原酒を受け入れ・保管していなければ、現在のイチローズモルトは生まれなかったとも言われる。
そのストーリーだけで杯が進むようなドラマがあるのだが、今回の記事とは趣旨がそれるので深追いはしない。
ぜひ、公式HPでご確認いただきたい。
『山桜』シリーズに限らず同社のウイスキーは輸入原酒と安積(あさか)蒸留所の原酒をブレンドして作られている。
このため分類上はワールドブレンデッドウイスキーとなる。
しかし、「自社製原酒の熟成に要する期間」と「価格の安定化」を解決するための、合理的かつ誠実なアプローチと受け取った。
大事なのは「ジャパニーズ」を冠することではなく、液体そのものの出来だ。
外観

ブランド名とデザインの象徴である「桜」は笹の川酒造の前身の「山桜酒造」の屋号に由来する。
黒を基調としたボトルに鮮やかな金色の桜。
漢字とアルファベットの共存。
和洋折衷の洗練された世界観を作り上げている。
2,000円台とは思えない重厚で品のあるデザインはインテリアとしても映える。
流行りのジャパニーズウイスキーと一線を画すデザインは長い歴史を持つ同社の自信すら感じられる。

ストレート
香り
香りの立ち上がりは控えめ。
パンのような香ばしさと干しブドウ。ハッカのようなすっとし爽やかさ。
素朴なスモーキーさを感じさせる。
味
柔らかな苦みと土っぽいスモーキーさを伴う穏やかな甘み、まとまりが良く滑らかに舌に絡む。
アルコールの刺激は弱く飲みやすいが、フィニッシュには若さを思わせるわずかな角も感じた。
ロック
香り
ストレートとあまり変わらない。
味
冷えるほどにスパイス感が強くなる。
舌にのせた瞬間の甘みをブラックペッパーを思わせるピリリとしたスパイス感が追いかける。
ハイボール
香り
香りは全体として控えめで、炭酸によって大きく開く印象はない。
味
甘みが舌いっぱいに広がり、その後をピリッとしたスパイス感が追いかける。
余韻には土っぽく素朴なスモーキーさが残り、舌裏にほのかな苦みがふわりと漂う。

まとめ
ストレートのまとまりの良さも好印象だったが、ロックやハイボールでは若い原酒らしさがうまくマスキングされ、さらに完成度の高い味わいに感じられた。
ロックで引き立つ甘みとスパイス感も魅力的だが、特筆すべきはハイボールのバランスの良さだ。
甘さが際立ちながらもスパイシーでドライ。
短い余韻に残る軽やかなスモーキーさはキレが良く、食中酒としての適性も高い。
飲み方によって表情を変える一本。
試してみるのも一興。
今回も最後までお付き合いありがとうございました。