職場の寒さと同調圧力
月曜日の朝、起きるととてもだるかった。
体が重く、のどが痛い。
熱を測ると36.8°だった。
自分は体温が低いほうなので、36.8°は微熱というか自分的には立派な熱である。
家族が風邪をひいていたのでうつるかと思っていたがやはりうつってしまったようだ。
ひとまず、仕事に行く。
勤務時間は8時30分からだが、他の人が来る前に済ませないといけないタスクがあるため6時30分に出勤している。
少なくとも前日には交代要員を見つけておかないと突然に交代できるような人はいないのである。
朝のタスクを完了して無事始業時間を迎える。
しかし、鳥肌が立つほどに寒い、震えるほど寒い。
今日は寒い日なのか、それともよっぽど体調が悪いのか、と思っていると。
「今日めっちゃ寒いですよね」と部下に言われる。
「だよね、めちゃくちゃ寒いよね」同意する。
「暖房付けてほしいくらいですよ」
どうやら、自分だけ寒いのではないらしい。
うちの職場は割と広いスペースに部下と二人だけで、でかいドアが常に開け放たれているので寒いのである。
昼前になると下を向くだけでげろ吐きそうである。
ガタガタ震える。
「すごく寒いよねぇ」と聞いてみる。
「ほんとに寒いですよ~」と応じてくれる。
なるほど、やはり自分だけではないようだ。
謎の薬と自己判断
しかし、動くのもおっくうだし、頭もガンガン痛い。
なにかしら体調をごまかす薬が必要だ。
イブでも持ってなかったかなと引き出しをごそごそすると、何かわからない薬が一錠だけでてきた。
錠剤パッケージの裏面を見ると「解」と書いてあるところで切れている。
おそらく「解熱」と続くに違いない。
なんだかわからんがコロナのワクチンを打った時のカロナールではなかろうか?
数年前のものと思われるため、効力がないどころか体に悪いかもしれん。そもそもカロナールかどうかも判然としない。
しかし、今の自分にはこの薬しか頼るものがない。なにしろ二日酔い並みに体調が悪い。
昼食後に飲んでみた。30分ほどするとなんだか体調がよくなってきた気がする。
1時間もすると明らかに体が楽になった。
どうやらカロナールだったようだし効力も残っていたようだ。
ということは、効果時間は6時間なので、18時30分頃には完全に効き目が切れる。
早く帰ろう。
17時ころまでは好調(というほどでもないが)に仕事をこなした。
17時15分の定時を過ぎてからもこなすタスクがあるため18時まではどうしても残る必要がある。
なんとか終わらせ、18時半に家に帰宅。
熱を測ってみると38.8°であった。
やっぱり具合悪いんじゃ~ん。
体調悪くて寒かったんじゃ~ん。
体温計に自分が確かにしんどかったことを立証してもたったようでうれしい。

ご飯をもりもり食べて栄養をつけて早く寝よう。
ごはんを山盛りにして食べ始める。
「く、食えない。気持ち悪い」
と途中でダウンする。あほかと思うかもしれないが自分でもやっぱりあほだと思う。
妻に呆れられながら何とか食べきる。
風呂に入る前に妻が「去年こどもがコロナにかかった時のカロナールがあったと思うから探しておく」と言う。
「是非に頼む」とガタガタ震えながら風呂に入る。
カロナールと離婚の危機
風呂からあがると妻が「カロナールあったけど捨てたよ」という。
耳を疑う。気分的には「楽には死ねんぞっ!」と言われたくらいの衝撃である。この流れで離婚を切り出されるのではないかと怯えたほどである。
理由をきくと「薬はあったがもっと苦しめたいので捨てておいた」ということではなく処方されてから1年以上たっていて飲むのが危険ではないかということのようである。
理由がはっきりしたので、ゴミ箱を漁って飲む。昼間はなんだかわからん上に何年前のものかわからん錠剤を飲んでいるのである。1年前なら効き目は間違いあるまい。
翌日は休むことにしようかと思ったが、朝のタスクを部下にお願いするのも申し訳ない。部下は女性であるので身支度のために私より30分は早起きせねばいかんのではなかろうか。知らんけど。
ひとまず、朝のタスクだけはこなしてそのあと休ませてもらおうと連絡はせずに寝た。
承認欲求の満たし方
翌朝、まだ38°近い熱があったが、出勤すると決めていたのでとりあえずいつも通り6時30分に出勤。「体調悪いのに人より早く出勤する自分かっこいいわ~」と思っているのである。
朝のタスクをこなして帰ろうかと思ったが、カロナールのおかげで大丈夫そうである。
何しろ前日よりはだいぶましである。
部下にも何も言わずに仕事をすればいいのだが、実は熱があったと伝える。
体調悪いのに頑張っていると思われたいのである。
午前中を無事にこなし、昼飯はとらずにひたすら寝る。
午後になって「やはり絶好調ではないよな」と再確認するが、二日酔いの時よりはましだよなぁと思う。
部下から見ても冴えないのが分かるようで「帰ったほうが良い」と言われる。
そんなこんなで午後の途中で帰宅。
とっとと寝ればいいのになぜかホットサンドを作って食べ「ああ気持ち悪い」と確認し、「体調が悪いのに頑張っていてすごい」と上司や部下から思われただろうか、きっとそうに違いない。と満足して寝る。
ほんとにがんばる人は周囲の人に何も悟らせないのだが、すごいと思われたいので自分から言ってしまうあたりが非常にいやらしい。

二日酔いも病気として扱ってもらえないだろうか。
カロナールでおさまればいいのにな。
あれは本当につらい。