高校2年生の時だったと思う。CDショップのチラシの新譜紹介で見つけた。
「雲射抜ケ声」
詩的なアルバムタイトルに心を掴まれてどんなバンドなのかもわからずにCDを購入した。
バンド名は「eastern youth」かっこ悪いな、と思った。
収録曲「雨曝しなら濡れるがいいさ」が好きだ。
歌詞が詩になっている。
どういう人たちなんだろう。
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こういう人たちだった。
こんなかっこ悪い人たちがいるんだなぁと笑った。
でもそれが凄くかっこよくて、以来彼らのファンだ。
初めてライブを見に行った。
なぜならそろそろ死んでしまうのではないかと思ったからだ。失礼ながら。

早く着きすぎてしまった。開場1時間前だったが2,3人同じように早く着きすぎてうろついている人がいた。
開場時間になった。スタッフが「整理番号順の入場になります。お客様同士で番号を確認してくださ~い」
個々人が前後の人と番号を確認しあえばすぐに整理できるなぁと思ったが、誰も動かなかった。僕も恥ずかしいのでちらちら列を見るだけだった。
いよいよ入場のところで後ろの人に「166番なんですが」と声をかけると「ちょうど167番です」と何がうれしいのか声を弾ませて返してくれた。なんか僕もうれしくなった。
オールスタンディングなのでご常連は後ろで落ち着いてみている。おかげで思ったよりもステージの近くに行くことができた。
吉野のギターは雷のようだった。魂が口から飛び出るような叫び声に思わず泣きそうになった。
その演奏の開始に度肝を抜かれた。
ギター吉野寿が「わわわ~おおお~」訳の分からないことを呟きながらギターをチキチキと鳴らしその様子をベースの村岡ゆかがものすごく真剣なまなざしで見つめている。
ここからどーんと始まるのかなと思ったら、急にギター吉野がじゃらーんと始めてベースが慌てて音を鳴らす。これがバシッと決まれば「さすがプロ!」となるがその後のじゃらーんもずーっと合わなかった。おぉ~い!
ボクサーがジャブの初動を隠すために細かくステップを踏むように、ギター吉野寿はチキチキピッキングで曲の初動を隠すのだ。
「協調性!」と吉野のハゲ頭をひっぱたきたくなったが、ベース村岡は真剣である。
しかもギター吉野はドラムに合わせるという意識を恐らく持っていないため自身の感情に合わせて曲中もテンポが変わる。素人目にもバンド全体がぐじゃっとなる。
そうかと思うと、間奏でドラム田森が「今は俺のターン」とばかりにタム回しを初めてギターに合わせるのをやめてしまい、ハラハラしてベースを見るとドラムに合わせた。
じゃあギターはどうかと言うとドラムに合わせたので見ているこちらとしても「あぁよかった。」と胸をなでおろす。
ではベース村岡ばかりが苦労人かというと、こちらはこちらで自由気ままなベースラインで好き勝手やっている節がある。
という一連に慣れるまで少々時間がかかった。あと、前に立っている革ジャンのでかいおっさんが邪魔だったが、これは許容するしかない。小柄な女性も多く、その人たちから見れば僕も十分邪魔だろうから。
二時間。ビールを飲む暇もなくあっという間だった。気づけば声が枯れていた。
ライブは好きだけど、どうしても人に気を遣ってしまうわずらわしさがある。「客の中で浮いてないだろうか」とか「この盛り上がり方あってる?」とか「ぶつかったら怒られるかな」「セクハラになるのでは」
そんなこと気にすんなよ、と思うだろうけど気になるんすよ。
僕は、また見に来るだろうか。見たくなったら来るんだろうな、と思う。



