お尻から呼吸する技術の人間に対する臨床試験が始まっている。
普段日の目を見ることのないお尻。
特にも肛門は日光の光を浴びることはまずない。
海水浴に行って体中に日光を浴びたとしても肛門を日の光の下に晒すことはない。
その肛門に日光を充て、ある訓練をすることによりお尻で呼吸する可能性が出てきた。
これが「肛門日光浴呼吸法」である。
というあほな話かなぁと思って興味を持ったのだが、極めて大真面目な医療技術だった。
呼吸不全の人にお尻から酸素を入れて血中の酸素濃度を高めるのだ。
ドジョウなどの一部の水生生物は、酸素が足りなくなるとお尻(腸)を使って呼吸するらしい。この「ドジョウの知恵」に着想を得た医療技術の研究が、ついに人間での臨床試験フェーズに入ったのだった。

腸換気法(EVA法)とは?
お尻呼吸法とは何か?
通常、僕たちは肺で酸素を取り込むが、重度の肺炎や呼吸不全では肺が機能しなくなる。
そういった場合人工呼吸器や人工肺で酸素を取り込むのだが、デメリットも大きい。
そこで登場したのが「お尻からの呼吸」つまり「腸換気法=EVA法(Enteral Ventilation via Anus)。
- 仕組み: 酸素を豊富に含んだ液体(パーフルオロカーボン)や酸素ガスを、直腸から注入。
- メリット: 血管が密集している腸の粘膜を通じて酸素を血液に送り込む。従来の人工呼吸器やECMO(人工肺)に代わる、あるいは補助する新しい手段として期待される。
パーフルオロカーボンとはなんぞやと思うがそういう物があるらしい。
臨床試験では膨満感や腹痛などの軽い有害事象はあったものの酸素を取り込んだ後に無事に体外に排出されたようだ。
ついに始まった臨床試験
2024年から、健康な成人を対象とした第1相臨床試験(安全性試験)が開始されている。
これまでの動物実験(マウス、ブタなど)では、呼吸不全の状態でも生存率が劇的に向上することが確認されていたが、いよいよ「人間でも安全に使えるか」を確認する段階に来たのだ。

腸換気法のここが「すごい」
先にも書いたとおり、人工呼吸器、人工肺はデメリットが大きい。
人工呼吸器の副作用などあまり知らなかったが、自然に呼吸するときとはまるで異なるようだ。
人工的に肺を動かして呼吸させることにより、肺に穴が空いてしまうなど、色々危険なことがあるようだ。装着期間が長いほど可能性は高まる。
腸換気法の研究者である東京科学大学総合研究院の武部貴則さんの父親は人工呼吸器を装着した後遺症で肺が片方機能しなくなったそうだ。
人工呼吸器や人工肺と異なる腸換気法のメリットは次の通り
- 低侵襲: ECMO(人工肺)のように太い管を血管に通す必要がなく、体への負担が少ない。
- 緊急時の救世主: 設備が整わない環境や、既存の治療法が使えない患者さんにとっての「第3の呼吸法」になり得る。
- 乳児への効果が大きい!:乳児への人工呼吸管理は危険が大きい。代替することにより一生の後遺症を避けられるかも!
まとめ
肛門日光浴呼吸法などと茶化したが、切実で誠実な思いから進められている研究だった。2024年のイグ・ノーベル賞を受賞しているので第一印象はやはり「おやっ?」となるが受賞を契機に認知度が高まったようだ。
数年後には、ダイバーが酸素ボンベの代わりにお尻にチューブを挿しているかもしれない。
などと茶化してはいけませんぞ!(お前がな)
「呼吸に苦しむ人を早く、一人でも多く救いたい」
頑張ってほしいと思いました。
(R8.1/21(水)毎日新聞の記事、他から)
↓東京科学大学のプレスリリース
